高齢者は熱中症にかかりやすく、重症になりやすい傾向にあります。
このページでは、高齢者が身近にいる方に読んでほしい、熱中症にならないための予防対策をご紹介します。

東京都23区における熱中症死亡者(計200人速報値)のうち、約9割が65歳以上の高齢者で、約9割が屋内でした。
また、屋内での死亡者のうち、約9割がエアコンを使用していませんでした

(令和3年に政府が制定した「熱中症対策行動計画」の資料より)

高齢者が熱中症にかかりやすい理由

高齢者には、熱中症にかかりやすい身体的要因が、たくさんあります。

高齢者は体の水分量が、成人より約10%少ない。

体内水分量は、体重に対して成人は約60%ですが、高齢者は約50%と言われています。

体内水分量
小児⇒75%、成人⇒60%、高齢者⇒50%

高齢者は、体内の水分量が少ない上、体の老廃物を排出する際もたくさんの尿が必要。
つまり水分が不足しやすいのです。

高齢者はのどの渇きを感じにくい

水分が不足するなら、たくさんお水を飲めばいいのだけど…

高齢者は「のどの渇き」を感じにくい上、年とともに、飲める水の量も減少します。

高齢者は暑さを感じにくい

 

暑さの感覚機能が低下するため、暑さを感じにくく、部屋の温度調整や衣服が適切でない場合があります。

高齢者は体温調節が苦手

 

高齢者は体温調節機能も低下していて、体に熱がたまりやすく、熱中症になりやすいのです。

高齢者が熱中症にならないための予防対策

 

部屋の温度・湿度を測る

 

部屋の温度を28℃以下湿度を50~60%に保ちましょう。

部屋に「温湿度計」「熱中症計」を置いてこまめにチェックしましょう。
湿度が10%違うと、体感温度は2℃違うと言われています。温度が適切でも湿度によっては、熱中症の危険度が高まります。

 

涼しく風通しのよい部屋にする

 

窓とドアの両方を開けて風通しをよくしたり、クーラーや除湿器、扇風機などをうまく利用して、涼しい部屋作りをしましょう。夏の閉め切った部屋は、高温多湿になりやすいので、熱中症の危険度が高まります。

 

こまめな水分補給を

高齢者は脱水症状をおこしやすいので、のどが渇く前にこまめに水分補給をしましょう。また、夏は汗をかきやすいので、塩分補給も忘れずに。

塩分補給には、お茶漬、塩昆布、昆布茶、梅干し、塩飴、スポーツドリンクなど。

 

外出時は涼しくラクな服装で

 

外出時は、日傘や帽子なども活用し、涼しくてゆったりした服装で出かけましょう。白い服は、太陽の熱を吸収しにくいのでおすすめです。

マスクの着用は、熱中症リスクが高まります。人と2メートル以内の距離で会話をする時以外は、マスクを外しましょう

休憩や水分補給も忘れずに。

 

お風呂も熱中症に注意しよう

 

入浴時は、体温が上がり、汗で水分が失われるため、脱水症状や熱中症の危険があります。入浴の前後に水分を補給しましょう。

寝ている間も熱中症に注意しよう

 

睡眠時は、熱中症の危険度がとても高く、油断大敵! 理由は3つあります。

  • 寝ている間は汗をかくので、脱水症状になりやすい
  • 窓の閉め切りや、昼間に貯まった天井や壁の熱で、室温が上昇しやすい
  • 寝ている間は、熱中症の自覚症状を感じにくい
寝ている間の熱中症対策
  • 就寝時、起床時には水分を補給
  • 部屋や寝具、パジャマを涼しく快適に
  • エアコンや扇風機を活用して温度、湿度を快適に

 

異変を感じたら、ためらわず救急車を呼ぼう

高齢者はリスクが高いので、熱中症の疑いがあったら、ためらわずに救急車を呼びましょう。

応急処置は

  • 涼しい場所に移動させる
  • 衣服を脱がせて、水や濡れタオルで体を冷やす
  • 水や経口補水液を飲ませる(意識がはっきりしている時のみ)
    ⇒意識がもうろうとしているときは、誤飲の恐れがあるので無理には飲ませてはいけない。

 

さいごに

 

高齢者は暑さを感じにくい、のどの渇きを感じにくい、体温調整がしにくい…。

 

高齢者の熱中症対策には、あらためて、周りの人が注意しておくことが大事だなあと感じます

 

しかし遠く離れた高齢の母は、ひとり暮らし。電話で注意喚起。電話を切る間際に声掛けです。

「水分補給忘れずにね」

「寝る時もエアコンつけてた方がいいよ」

 

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