長寿祝いは、賀寿(がじゅ)とも言い、長生きをたたえてお祝いする風習です。決まった年齢だけ、つまり一生に一度の特別なお祝いなので、祝福されるご本人の喜びもひとしおです。

赤いちゃんちゃんこを身に着ける、60歳の還暦はとても有名ですが、他にもたくさんの種類があるのをご存知ですか? この記事では、長寿祝いの種類や祝う年齢、由来などを解説しています。

長寿祝いの種類

長寿祝いはたくさんの種類があるので、代表的なものと少しマイナーなもの、2つに分けて説明します。

長寿祝い(代表的なもの)

賀寿 読み方 祝う年齢
数えで
祝う場合
満年齢で
祝う場合
還暦(61歳) かんれき 満60歳
緑寿(66歳) ろくじゅ 満65歳 満66歳
古希(70歳) こき 満69歳 満70歳
喜寿(77歳) きじゅ 満76歳 満77歳
傘寿(80歳) さんじゅ 満79歳 満80歳 金茶
米寿(88歳) べいじゅ 満87歳 満88歳 金茶
卒寿(90歳) そつじゅ 満89歳 満90歳 紫/白
白寿(99歳) はくじゅ 満98歳 満99歳
百寿(100歳) ひゃくじゅ
ももじゅ
満99歳 満100歳

基本的に、一般的な長寿祝いをおさえておけば大丈夫ですが、祝うタイミングが過ぎてしまった場合や、100歳以上のお祝いは、次の長寿祝いを参考にしてください。

長寿祝い(少しマイナー)

賀寿 読み方 祝う年齢
数えで
祝う場合
満年齢で
祝う場合
半寿(81歳) はんじゅ 満80歳 満81歳 金茶
珍寿(95歳) ちんじゅ 満94歳 満95歳
茶寿(108歳) ちゃじゅ 満107歳 満108歳
椿寿(110歳) ちんじゅ 満87歳 満110歳
皇寿(111歳) こうじゅ 満110歳 満111歳
天寿(118歳) てんじゅ 満117歳 満118歳
頑寿(119歳) がんじゅ 満118歳 満119歳
昔寿(120歳) せきじゅ 満119歳 満120歳
大還暦(121歳) だいかんれき 満120歳
天寿(250歳) てんじゅ 満249歳 満250歳

数え年と満年齢、どちらで祝う?

正式には数え年でお祝いをします。しかし最近は、満年齢で祝う人も多くなり、還暦以外は「どちらで祝ってもいい」というのが答えになります。

数え年と満年齢の違いについて

 

満年齢は、生まれた年が0歳から始まるのに対して、数え年は1歳から始まります。

■数え年とは

数え年は、生まれた日に1歳になり、新年を迎えるたびに、1歳増えていきます。

4月10日生まれなら、生まれた年の4月10日~12月31日は1歳。翌年の1月1日~12月31日までは2歳となります。

12月31日生まれなら、12月31日が1歳、翌日1月1日に2歳となります。

 

■満年齢とは

満年齢は、生まれた日が0歳、翌年の誕生日がきたら1歳になります。

日本では年齢計算に関する法律により、「誕生日の前日の終了時刻」に1歳年を取ることになっています。4年に一度しか誕生日がこない2月29日生まれの人も、「2月28日の24時」に1歳年を重ねることになります。

長寿祝いの由来やテーマ色について

ここからは、各長寿祝いの由来やテーマ色について詳しく解説します。

還暦(かんれき)61歳

祝う年齢 テーマ色
満60歳 (数え61歳) 赤色

 

還暦祝いは、もともと中国から伝わったもので、「暦(こよみ)が還る(かえる)」という意味があり、干支(えと/かんし)が関係しています。


干支とは、私たちがよく知る、十二支(じゅうにし)「子、丑、寅・・・」と、十干(じっかん)(甲・乙・丙・・・)を組み合わせたもので、60通りの組み合わせがあり、60年で干支が一巡します

 

つまり数え年の61年目は、生まれた年と同じ干支になり、暦が還る(赤ちゃんに還る)ということで「還暦」と言われています。

 

還暦を祝うタイミングは、満60歳の誕生日でいいのですが、誕生日以外の日に集まる場合は、干支が一巡したタイミング「数え年の61歳」となります。
ねずみ年の方なら同じ干支のねずみ年になった年と覚えておきましょう。

 

■赤いちゃんちゃんこを贈るのはなぜ?

還暦のお祝いで、赤いちゃんちゃんこを贈るのは、2つの意味があると言われています。

 

ひとつめは、還暦の年は、暦が還り赤ちゃんに還るという意味で、赤ちゃんと同じ語呂の赤色のものを贈るとされています。

 

ふたつめは、赤色には魔除けの意味があり、かつて赤ちゃんを病気や悪いものから守るために着せていた、赤色のちゃんちゃんこを、健康や長生きの願いを込めて贈る習慣が広がったとされています。

 

男性の61歳(数え年)はちょうど厄年なので、厄除け祈願にもなりますね。

緑寿(ろくじゅ)66歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満65歳 (数え66歳) 満66歳 緑色

緑寿は、全国百貨店協会が2002年に提唱したもので、テーマカラーは緑色です。できたのは新しいですが、最近、ぐいぐい知名度を上げてきています。

古希(こき)70歳

喜寿

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満69歳 (数え70歳) 満70歳 紫色

 

古希は、中国の唐時代の詩人「杜甫(とほ)」が詠んだ詩の一節「人生七十古来稀なり」に由来しています。人生70歳まで生きることは、古来より大変珍しいことであるという意味で、「古希」と名付けられました。現代では稀ではありませんが、その時代の70歳は珍しいほどの長生きでした。

 

古希祝いのカラーは、紫色。中国では高貴な色とされていて、70歳になられた方への敬意やいたわりの気持ちが込められています。

 

紫色は、心を癒す効果があるとも言われています。

喜寿(きじゅ)77歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満76歳 (数え77歳) 満77歳 紫色

 

喜寿は、「喜」の草書体が、「十七の上に七」が付いたような文字に見えることに由来しています。
喜寿祝いのカラーは、古希と同じ紫色。中国では高貴なカラーで77歳を迎えられた方への、敬意やいたわりの気持ちを込めて、紫色のものを贈る習慣があります。

 

現代で言えば、ラッキーセブンが2つ並んでるもの縁起がいいですね。

傘寿(さんじゅ)80歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満79歳 (数え80歳) 満80歳 金茶色

 

傘寿は「傘」の略字が「八と十」を重ねた形になり、八十と読めることに由来していて、「八十寿(やそじゅ)」とも言います。

 

傘寿祝いのカラーは、金茶色(茶色がかった金色)ですが、金色や黄色、オレンジ色などもよく使われています。

米寿(べいじゅ)88歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満87歳 (数え88歳) 満88歳 金茶色

 

米寿は、「米」の字を分解すると、「八十八」になることに由来しています。
また八十八という数字は、昔から末広がりで縁起の良い数字とされています。

 

米寿祝いのカラーは、傘寿と同じ金茶色で、金色・黄色・オレンジなどですが、ベイジュという読み方に合わせて、ベージュカラーが使われることもあります。

卒寿(そつじゅ)90歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満89歳 (数え90歳) 満90歳 紫、白

 

卒寿は「卒」の略字が「九十」と読めることに由来しています。
卒寿祝いのカラーは、紫または白です。

 

卒寿は、囲碁界での特別な呼び方が存在しているそうです。
囲碁版に星と呼ばれる黒い丸が9個あることから「星寿(せいじゅ)」と呼ぶそうですが、なんともおしゃれな言葉ですね。

白寿(はくじゅ)99歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満98歳 (数え99歳) 満99歳 白色

 

白寿は、「百」の字から「一」を引くと、「白」になることから由来しています。
白寿祝いのカラーは、漢字と同じ白色です。
白色は、日本で古来より神事のときにも使われる、神聖な色とされてきました。また白には無垢や純粋というプラスのイメージがあります。

 

その一方で、白色は亡くなった人に着せる着物を想像する方もいるため、注意が必要です。
色にこだわらず喜ばれるものを贈るのがいいかもしれません。

百寿/紀寿(ひゃくじゅ/きじゅ)100歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満99歳 (数え100歳) 満100歳 白色

 

百寿は、100歳のお祝いをそのまま表した言葉ですが、読み方は「ひゃくじゅ」「ももじゅ」の2通りあります。また、100年で1世紀となることから、1世紀の長寿祝い「紀寿(きじゅ)」とも呼ばれています。

 

百寿祝いのカラーは、白寿と同じ白色ですが、最近では「ももじゅ」の読み方にちなんで、桃色も使われています。

その他の長寿祝いの詳細

ここからは、少しマイナーな長寿祝いをご紹介します。

半寿(はんじゅ)81歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満80歳 (数え81歳) 満81歳 金茶色

 

半寿は、「半」の字を分解すると、「八十一」になることに由来しています。
半寿祝いのカラーは、傘寿・米寿と同じ金茶色です。金色・黄色・オレンジ色などが使われています。

珍寿(ちんじゅ)95歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満94歳 (数え95歳) 満95歳 なし

 

珍寿は「珍」の字の偏(へん)の「王」を「一・十・一」に分解し、右側の旁(つくり)を「八三」に分解。この数字をすべて足して計算すると、「1+10+1+83=95」ということで、95歳に使われるようになりました。

 

珍寿祝いのカラーは、とくに決まった色はないようです。ちなみに、珍寿という呼称は、110歳にも使われています。

茶寿(ちゃじゅ)108歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満107歳 (数え108歳) 満108歳 なし

 

茶寿は、「茶」の字を分解すると、「十・十・八十八」となり、「10+10+88=108」となることから108歳のお祝いとされています。
茶寿のカラーは、とくにありません。

椿寿/珍寿(ちんじゅ)110歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満109歳 (数え110歳) 満110歳 なし

 

椿寿という言葉の意味は、goo辞書によると、人の長寿を祝っていう語。

《「荘子」逍遥遊の「上古大椿という者あり、八千歳を以て春と為し、八千歳を秋と為す」から》長生きすること。長寿。特に、人の長寿を祝っていう語。

出典:goo辞書

また、珍寿は、95歳でも使われていましたが、珍しいほどの長生きということでしょう。
椿寿祝いのカラーはとくにありません。

皇寿(こうじゅ)/川寿(せんじゅ)111歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満110歳 (数え111歳) 満111歳 なし

 

皇寿は、「皇」の字を分解すると、「白・一・十・一」となり、「99(白)+1+10+1=111」となることから、111歳のお祝いとされています。

 

また、111の数字が「川」に似ていることから、川寿(せんじゅ)とも呼ばれます。

天寿(てんじゅ)118歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満117歳 (数え118歳) 満118歳 なし

 

天寿は、250歳の天寿の方が有名ですが、「天」の字を分解すると「一一八」となることから、118歳の長寿祝いにも使われています。
長寿祝いのカラーは、とくにありません。

頑寿(がんじゅ)119歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満118歳 (数え119歳) 満119歳 なし

 

頑寿は「頑」の字の偏(へん)の「元」を「二・八」に分解し、右側の旁(つくり)を「百・一・八」に分解。この数字をすべて足して計算すると、「2+8+100+1+8=119」ということで、119歳のお祝いに使われています。

頑寿祝いのカラーはとくにありません。

昔寿(せきじゅ)120歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満119歳 (数え120歳) 満120歳 なし

 

昔寿は、「昔」の字を分解すると「廿(20)」と「百」になり、「20+100=120」ということで、120歳のお祝いとなっています。

昔寿祝いのカラーは、とくにありません。

大還暦(だいかんれき)121歳(満120歳)

祝う年齢 テーマ色
満120歳 (121歳) なし

 

大還暦は、2回目の還暦を迎えるということで、還暦に大をつけて大還暦と呼ばれています、60年の干支のサイクルが2巡して暦が還り、数え年の121歳には、3巡目のサイクルに入ります。
大還暦祝いのカラーは、とくにありません。

天寿(てんじゅ)250歳

祝う年齢 どちらでもOK テーマ色
満249歳 (数え250歳) 満250歳 なし

 

天寿は、「天寿を全うする」にも使われるように、天に与えられた寿命という意味があります。
天の定めた寿命を全うして長生きしたいという思いが込められています。

さいごに

長寿祝いは、長生きすることが難しい時代にできたものですが、現代でも長生きはやはり、尊くて素晴らしいことです。

身近にご長寿の方がいる方は、日ごろの感謝とさらなるご長寿への願いを込めて、盛大にお祝いしましょう。

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